整形外科
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抱える方へ
お持ちの方へ
について
お悩みの方へ
永井病院整形外科は、津市内の二次救急の役割を担っており一般外傷の骨折手術など多数行っています。これに加え、手外科においては外傷から変形性疾患まで幅広い専門的治療を行い、また下肢関節の変形性疾患においても積極的な低浸襲手術などを実践しています。
三重県は高齢者が人口の約25%を占めており、骨粗鬆症による脆弱性骨折も増加傾向にあります。これらの骨折は寝たきりに移行する確率も高く、手術を含めた急性期治療と運動器リハビリテーションを行うことで人生の価値の損失を軽減できると考えています。
さらに当院では回復期病棟での整形外科リハビリテーションにも力を入れています。
回復期とは急性期治療後のリハビリの成果が最も得られやすい時期であり、退院後の患者さんの生活レベル向上に大きく関わってくる大切な時期です。その重要性は日々増してきており、他院にはない特徴的な整形外科疾患の運動器リハビリテーションチームを結成し、急性期治療後の診療サポートを充実させています。
整形外科部長
吉川 智朗
診療時間
診療科目や専門外来によって、診察可能な日時が異なります。事前にご確認ください。
外来診療担当表
対象疾患
関節疾患、手外科、外傷、脊椎疾患、骨軟部腫瘍、スポーツ障害、小児整形外科、骨粗鬆症、関節リウマチなど
当院の治療について
外来治療
当科の外来は、運動器に関連する疾患を中心に、さまざまな整形外科の疾患の診療を提供しています。
運動器とは、骨や関節などの骨格系を中心とし、それをサポートする筋肉や神経系からなる身体の構造を意味します。
具体的には、身体の土台である背骨や骨盤、そして四肢を主な治療対象としています。
上肢に関しては「手」や「肩関節」、下肢に関しては「膝」や「股関節」の問題、そして「骨・軟部腫瘍(できもの)」の治療も行っています。
さらに、スポーツによる傷害、交通事故の影響、労働中の事故による打撲や捻挫、骨折などの外傷の対応はもちろん、加齢に伴う変形疾患、骨粗しょう症、関節リウマチ、痛風、運動器の腫瘍や先天的異常といった疾患も診療の範疇としており、幅広い年齢層の患者さんの治療を行っています。
再診の患者さんだけでなく初診の方、そして予約なしの患者さんも同時に診察を受け付けています(手外科外来・骨軟部腫瘍外来を除く)ので、お気軽にご相談ください。
入院治療
当科での入院は、9割以上の患者さんが手術のための入院となります。
手術は担当医により異なる日に実施されるものの、主に月曜、火曜、木曜、金曜に行われています。
当科では多くの手術を集中して実施しており、予定手術の場合、手術前日からの入院をお願いしております。
この際、病棟でのオリエンテーションや健康チェックを受けていただきますが、一部は外来での対応となることもございます。
当科は、治療の目的やリスク、さらには予期せぬ事態について、患者様やご家族に十分に理解していただくことを重視しています。
手術や治療に関する疑問や不安があれば、事前に担当医にご相談ください。
手術後は、疼痛の管理とリハビリを行い、患者様の早期の日常生活復帰を目指しております。
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入院期間中、普段の生活環境とは異なるため、何か不明点や質問があれば、どんなことでも遠慮せずにお知らせください。
当科のスタッフが、患者様が安心して治療を受けられるようサポートいたします。
資格等
医師の専門性資格
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
日本整形外科学会専門医
日本整形外科認定リウマチ医
日本整形外科認定リハビリ医
日本人工関節認定医
その他資格等
医学博士
AO Truma Master Class 修了
医師紹介
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専門分野 FIELD
関節外科(下肢)、関節リウマチ、外傷(下肢)、運動器リハビリテーション
患者さんへのメッセージ MESSAGE
わかりやすい診療を心がけています。
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専門分野 FIELD
整形外科
患者さんへのメッセージ MESSAGE
地域の皆さまに信頼され、より良い医療を提供できるよう励んで参ります。
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専門分野 FIELD
整形外科、骨粗鬆症
患者さんへのメッセージ MESSAGE
これまでの経験を活かして、地域医療に貢献できるようがんばります。よろしくお願いします。
膝の痛みを抱える方へ
変形性膝関節症とは
40歳を越えると、多くの方が「膝の痛み」に悩まされるようになります。
実際、国内で膝の痛みを経験する人は約1200万人と推定され、その大部分が変形性膝関節症という、膝関節を形成する大腿骨、脛骨、膝蓋骨の軟骨が徐々に減少し、骨同士が直接擦れることで慢性的な炎症、疼痛や骨の変形が生じる病気です。
当科では、変形性膝関節症の進行により日常生活での動きに困難を感じる方に、最良の治療を選択し行っています。
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治療について
一方で、日本では年間約7万人の方が人工膝関節置換術を選んでいます。
手術の選択肢としては、全膝関節を置換する全置換術や、部分的な損傷に対応する単顆置換術などが考えられます。
若い世代の患者さんでアクティブな生活を望む方々には、関節を保護する高位脛骨骨切り術も選択肢として提案しています。
<全置換術>
<単顆置換術>
また、股関節の手術を選択される患者さんに対し、最新のナビゲーション装置を使用しています。
これにより、患者さん一人ひとりに最適化した人工膝関節の提供が可能となります。
手術に際しては、CTスキャンの画像データを基にした3次元の先進的な計画ソフトウェアを使用して、詳細な手術計画を立てます。
この計画は、診療放射線技師、臨床工学技士、理学療法士などの専門家チームと共有され、ナビゲーションシステムを通じて手術の精度を向上させます。
私たちの専門的なチームが連携をとりながら手術をサポートするので、安心して手術をお受けいただけます。
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さらに、当院では全国で数十台しかまだ導入されていない最新の人工膝関節置換術の手術中に執刀医のサポートを行う手術支援ロボット(ROSA Knee)を積極的に導入しており、手術の安全性と精度を更に高めています。
高度な技術を採用しており、6軸のロボットアーム(写真参照:左)と特別な光学カメラ(写真参照:右)から成るシステムです。
このシステムは、予め作成された3Dの骨モデルを参照し、手術中に医師に有用な情報を提供します。
患者の膝関節の個別の状態をこのカメラで評価することで、ロボットアームは最適な位置に骨切りを指示します。
これにより、骨を切る際の角度や深さを0.5mmや0.5°の精度で調整することができます。
実際の骨の切断操作は執刀医が行いますが、ROSA Kneeはそのガイダンスを提供し、手術を予定通りに進めるのを助けます。
さらに、膝関節の安定性を維持するための軟部組織のバランスも、手術中に細かく確認することが可能です。
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私たちの目指す治療は、痛みの原因を取り除き日常の人生の質を回復する治療を目指しています。
患者さん一人一人のライフスタイルやご希望を大切にし、最適な治療をご提案します。膝の痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q. 人工膝関節手術後のリハビリテーションのプロセスは?
A. 手術の翌日よりリハビリテーションが始まります。主に膝の動きをスムーズにするための運動や下肢の筋肉を強化するトレーニングが行われます。そして、手術から数日後を目処に、体重をフルに支えることができる歩行の練習を進めていきます。
Q. 人工関節置換術は高額療養制度ですか?
A. 人工関節置換術の費用については、高額療養制度の対象となります。保険の負担割合により、1割負担の場合は約5万7千円、3割負担の場合は約8万円となります(これは医療費のみの概算です)。具体的な金額は年収によって異なるため、病院事務にお尋ねください。
股関節の痛みをお持ちの方へ
変形性股関節症とは
股関節の痛みに悩む方は多く、変形性股関節症はその主な原因となります。
この疾患は、股関節の軟骨が摩耗してしまうことで痛みが生じ、進行すると日常生活に支障をきたすことが増えてきます。
特に、長時間の歩行や立ち仕事の後に痛みが増強することもあります。
また、若い方の中には、臼蓋形成不全という股関節の構造的な問題を持つ方もいらっしゃいます。
これは、変形性股関節症へのリスクが高まる要因となります。
当科ではこれらの患者さんに対しても、将来の健康を考慮し最適な治療を提案しています。
治療について
当科では、変形性股関節症の初期治療として非手術的な保存療法を優先します。
しかし、その効果が不十分な場合や、他院での保存療法が効果を示さなかった方へは、人工股関節置換手術を推奨しています。
多くの場合、人工股関節による置換手術が最も即効性のある治療法とされます。しかしこの手術は、一定のリスクや人工関節の持つ寿命という問題も伴います。
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人工股関節置換手術の一例
また、股関節の手術を選択される患者さんに対し、最新のナビゲーション装置を使用しています。
これにより、患者さん一人ひとりに最適化した人工股関節の提供が可能となります。
多くの場合、人工股関節による置換手術が最も即効性のある治療法とされます。しかしこの手術は、一定のリスクや人工関節の持つ寿命という問題も伴います。
手術に際しては、CTスキャンの画像データを基にした3次元の先進的な計画ソフトウェアを使用して、詳細な手術計画を立てます。
この計画は、診療放射線技師、臨床工学技士、理学療法士などの専門家チームと共有され、ナビゲーションシステムを通じて手術の精度を向上させます。
私たちの専門的なチームが連携をとりながら手術をサポートするので、安心して手術をお受けいただけます。
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<人工股関節置換術用CT-basedナビゲーションシステム HoloNavi One>
手術の必要性やタイミング、日常生活での注意点など、何かご不明点や質問があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。
骨折・外傷について
骨折や外傷を受けた際、治療までの時間は非常に重要です。
当院の整形外科は手足をはじめとする四肢や骨盤の外傷治療に特化しており、患者さん一人ひとりに合わせた高度な専門治療を提供しています。
股関節周囲の大腿骨骨折された方へ
大腿骨近位部骨折
特に股関節周囲の大腿骨骨折は高齢者における主要な骨折です。
年間約20万人がこの治療を受けていますが、うち約10%が1年以内に主に肺炎で亡くなっていることもわかっています。
これは、手術までの待機時間が長引くことで生じる筋力、認知能力の低下や免疫機能の低下だけでなく誤嚥性肺炎などのリスクを高めてしまうことによります。
これまで本邦における手術までの平均待機時間は106時間と言われており、これを短縮すべく多くの施設で受傷後48時間以内の手術を目指していますが、当院においてもこれに大いに賛同し実践すべく対応しています。
迅速かつ適切な治療で、患者さんの健康寿命を延ばすことを目標とします。
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骨折やその他の外傷を受けた方へ
その他の骨折や外傷においても、世界的な骨折治療に関する研究者の集まりであるAO財団の治療概念を基本に医師や手術室スタッフが共通の教育を受け、より高度で専門的な外傷治療を目指しています。
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手関節骨折(プレート治療)
膝蓋骨骨折(ワイヤー治療)
脛骨骨折(髄内釘治療)
足関節骨折(プレート・ワイヤー治療))
さらに三重大学整形外科や地域の開業医との連携を深めており、手術後のサポートも協力しながら実施しています。これにより、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することができます。
骨折や外傷を乗り越え、健康寿命を伸ばすためのサポートを強化する当院の治療方針は、緻密な治療計画と適切なリハビリを組み合わして、患者さんの早期社会復帰を全力でサポートします。
手の痛みや怪我にお悩みの方へ
手は私たちの日常生活で欠かせない器官であり、繊細かつ複雑な構造を持つため、治療が難しい場合もあります。
日常的に何気なく使っている手ですが、その動きが制限されるだけで、生活や仕事に影響が出ることが多いのです。
手外科は、一般に肩から手の先まで、つまり肩、腕、肘、手関節、指などの上肢全体の治療を専門とします。
当科では、マイクロスコープを活用した手術や、手指、手関節、肘関節、肩関節の骨折治療、ケルバン病やばね指などの腱鞘炎など、多岐にわたる手術を実施しています。
さらに、関節鏡を利用した肩の腱板修復手術や、手根管症候群や肘部管症候群などの絞扼性神経障害治療、変性疾患、手関節ガングリオンなどの治療も行っています。
当科は手の疾患に特化した外来を、三重大学との協力のもと提供しています。
手の痛みやしびれ、または怪我などの症状がある方、手の問題に関して、専門的な知識と技術を持った医師からの治療を受けたい方は、手外科外来にお気軽にお問い合わせください。
リウマチについて
リウマチの進歩と現代の治療法
関節リウマチは、過去には「がんは死刑、リウマチなら無期懲役」と表現されるほど、患者にとって辛く、活動性を奪われる疾患でした。
しかし、20世紀末のメトトレキセートの治療法導入や21世紀のTFN-αやIL-6を対象とした生物学的製剤の使用により、治療結果は大きく進展し、現在ではリウマチ患者の約3%が完全寛解に、70%以上が進行停止の寛解状態に至っています。
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早期の発見と適切な治療が、より良い結果をもたらす鍵となります。特にTreat to Target (T2T) アプローチを用いて、痛みを和らげるだけでなく関節の破壊を防ぐ目的での治療が注目されています。
当科では、病勢や炎症、関節破壊マーカーを総合的に評価し、最適な投薬治療を提供しており、場合によっては生物学的製剤の導入や整形外科的手術も行っています。
リウマチは病気自体を理解するのが難しい疾患ですが、何か疑問や不安があれば、お気軽にご相談ください。